くもり空の形而上学

ジャパンカルチャーや茶道、日常のことなど雑多に書きます

茶道の話 石洲流 28 備忘録

こんにちは。吹雪です。

稽古、今回は僕だけでした。点前は2回やり、濃い稽古時間でした。

お稽古の間砂壁を見ていましたが、均一な面が出ており、またざっくりとした砂の味わいを残しながら施工されていました。これはすごい。どのような鏝を使ったのだろう。また、分厚く塗っていそうなので、それを均一に塗りながら、全体の乾燥をコントロールするのは職人技だと感じました。ノリは何を使っているのだろう。膠かな。今度においをかいでみよう。

 

早速ですが、今回の備忘録を。

自服するときはいつもの場所にお茶を出した後、水差しから水を一杯入れ、そのあと向き直って頂戴いたしますと言う。(この順番をもう一度確認する)

どうぞご自服くださいというような声がかかるので、自分の前に茶碗を持ってくる。ヘリ外に。それからはいつも通りにお茶を飲む。今回は自分が飲んだお茶で終い茶碗にした。

石州流と利休の関係を尋ねると、そこまで大きな存在ではないようでした。わびさびもいいけれど、茶席が茶色一色になるのも問題だとのことでした。

自服した際、茶筅の先がかけて、舌に残りました。いかに形だけ茶筅通しをしていたか自覚しました。今度からはちゃんと見て、折れていたら切り取ろうと思いました。

 

お軸は清風払明月でした。約1年ぶりですね。

お花はありませんでしたが手つき籠がありました。

 

今日のお菓子は新潟であったお茶会のお菓子で、協賛企業がたくさんでてどこのお菓子かわからないとのこと。

 

今回は簡単ですがこの辺で。吹雪でした。

茶道の話 石洲流 27 備忘録

おはようございます。吹雪です。

下書きしていたので、仕事前に投稿します。

 

皆さまシルバーウィークはいかがお過ごしでしたか。私はずっとリフォームをしていました。

19日土曜はゴミ置き場になっていた和室を復活させるために、廃材の木材を丸のこで細かく切って捨て、砂壁を落とし養生をはがして掃除しました。

すると土壁の土っぽいにおいがひどくて、急いでシーラーを買って塗ったところ、今度はシーラーのにおいがひどくて、さらに急いで砂壁材を頼みました。「砂王」です。

このときにはがした養生は5月からしいていたもので、ここまで来たかと感慨深かった……。

 

そのあと洗面所の壁を作るために角材で下地をつくり、天井も張り終えました。さらっと書きましたが、天井大変でしたよ。石膏ボード重いんだもの。

ガスマスクをかぶってウレタン原液をまぜて断熱材を作り、洗面所に吹き付け、昨日は砂壁を塗って和室が完成しました。まあ、いろいろやったわけです。しかし、まだまだ終わらない……。

 

そんななか、藤田美術館の至宝展にもいきました。紹鷗愛用の茶碗があり素直に感動。曜変天目の方は、きれいだけどなんだかホコリをかぶったような白い斑点が気になる……。

 

 

前回のお稽古は疲れて稽古に集中できず、ミスを多くしました。ちゃんと集中しないといけないですね。それと、大学の茶道部のOGの方がいらっしゃいました。礼儀正しく身のこなしも優美で、お茶をやるとはこういうことなのかとわが身を省みました。

 

さて、備忘録です。

お菓子は紅屋さんの「みのり」と「山の幸」です。(写真は紅屋さんから拝借しました)

 

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みのりのほうは、きんとんです。中に小倉餡が入っているようですが、こちらは食べられず。山の幸は、餡に包まれた栗です。4等分にしたらくずれてしまい、ちまちま食べたところ味がよくわかりませんでした。やはり和菓子は、原型を保ちながら食べると、製作者の狙った味の調和を体験できると思うのですよ。 先生がよく手でつかんで食べていらっしゃるのも美味しくいただくという意味があるのに違いない。

 

今回はまず濃茶の飲み方を教わりました。

お茶が出されます。そのときに古帛紗が下手側に(左手側。上手ギター、下手ギターと一緒の考え方)置かれます。先頭の人は、これを使わない場合は、右側におき直し、そっとずらして相手に返すようにする。(これが基本)

そのあと、おもむろに懐から自分の古帛紗を右手で取り出し左手で受け、右手で縦書きの本のように開く。そこに右手で茶碗をとって左手の古帛紗の上におく。一回まわして、古帛紗ごと右手で茶碗を包むようにして持ち、二口飲む。亭主に挨拶。その後、人数分を考えて飲む。

両手で古帛紗ごと畳の上に置き(縁内)、飲み口を懐紙で清める。

懐紙の折り方は、もともとついている折り目とは十時になるようにして半分におり、さらに半分に折る。折る動作は、先生の動きでは、水平に持って、上の部分を下に折っていた。

おった懐紙で3回ふく。拭く手は右手。左手はお茶をたてるときのように上から支えると安定して良いかも。先生もそのようにやっていた。拭く順番は左から右、右から左、左から右。このとき、ふいた懐紙の部分を内側に折っていく。指を曲げる動きで折り込むようにできるとスムーズ。ふいて折り込む動作は片手でやること。

拭いたら懐紙をしまい、茶碗を右手でとり、左手で受けて、2回まわして縁外におく。自分の古帛紗を茶碗の上手側におく。このとき、どうぞお使いください、のようにひとこと添えておくこと。

次の人も古帛紗を使わないときは、そっと押して返すこと。

なお、古帛紗の袋になっている部分が茶碗側に向くようにすること。

古帛紗はお茶が冷めないようにする工夫とのこと。

 

前回教わった棗の箱の紐の結び方をペンタブで描こうかと思っていたのですが、引越しのどさくさでどこかに行ってしまいました。忘れないうちに描かなきゃな。

 

お軸とお花はありませんでした。

 

ではまた。吹雪

【MMD】 初音ミクダンスの形而上学 【初音ミクのダンスはなぜ素晴らしいのか】

おはようございます。吹雪です。初音ミク好きの方が読者になってくださったので、お礼も含めて書き溜めていた記事をひとつ投下します。

 

初音ミクのダンスは新しい表現!?

超絶技巧のダンス動画には、「まるでCG」とコメントされることがあります。

でも意外なことに、CGでつくったダンスを探しても見当たりません。やっとの思いで見つけたのはプリキュアのエンディングでした。

 

とどのつまり、CGをつかってまで映像に踊らせる必要がないということなのでしょう。人間がかっこよく踊る。それで良かったと思うんです。

 

ところが!

 

ボカロのようなバーチャルアイドルの登場によって、映像に本格的に踊らせる必要が出てきた。それでやってみたら、なんだすごくいいじゃないか、という新たな人類史に僕たちは立っていると思うのですよ!(力説)

そう、まだ気づかれていない隠れたムーブメントがあると思うのです! 

時代のうねり(の直前)と言っていい!

 

初音ミクのダンス、結構凄いと思うのです。

レディーガガの前座で歌った時の映像を見てください。いかがでしょう。


Hatsune Miku Live in San Diego @ Lady Gaga's ...

 

なんなんだこの可愛らしさと感動は……。

 

 

この初音ミク自体のモーションを担送したのは、ストロボナイツなどの踊ってみた動画で知られるYumikoさんという方で、フランス在住のプロの舞踊家です。「でんぱ組.inc」などの振り付けも担当されていたり、結構前から「踊ってみた」を投稿して話題になっていました。(隣で踊っているのは、イレブンプレイのダンサーで、イレブンプレイはPerfumeの振り付け師でもあるMIKIKOさんが勤めていますが、モーションは担当していません。Perfumeぽくなく、Yumikoさんらしいですね。こういった個性がきちんと出るのも、初音ミクの楽しみの一つです。)

 


【Yumiko】みんなみくみくにしてあげる【踊ってみた】2012.10.12 - YouTube

 

この動画だけでも、身体能力の高さや切れの良さがよくわかりますし、ダンスの素養も感じますね。

ちなみに、MEIKOの「Nostalogic」を踊っていることでも有名です。こちらはもっとセクシーな表現力が楽しめますのでご覧になってください。


MEIKO - Nostalogic (single edit) (with PV ...

 

そのYumikoさんのダンスは、初音ミクを経由することで化学変化を起こし、より素早く、より可愛らしく、良さがグンと引き出されていると感じます。

 

僕はギエムのダンスを観に行ったことがあって、出待ちをしてサインをもらったことがあるくらいなので、そこそこ人類のダンスの凄さを知っていると思うのですが、ダンスの頂点はギエムか、マイケルか、初音ミクか、というくらいに、僕の中では初音ミクのダンスは凄いのですよ。

 

初音ミクのダンスはダヴィンチの絵画と同じ原理

絵画や写真が現実世界のひとつ上の次元を描けるからこそ、いわば「美しく」できるように、ミクに踊らせることで、理想化された身体の美しさが見えるのです。

ミクミクダンスの技術や動画の面白さが話題になりがちですが、ダンス表現としての初音ミクはほどんど話題になりません。

もう少し話題になってもよいのではないでしょうか。

最後に私の大好きなモーションを紹介します。今年もライブでこれを観られて最高でした。


HATSUNE MIKU - Cat Food - Sub Español - Magical ...

 

それでは。吹雪でした。

マジカルミライ2015 in 日本武道館

こんばんは。吹雪です。

マジカルミライ2015年9月5日昼公演に行ってきました。

最高でした。というか、夢中で記憶があまりありません。それくらいよかった。

 

セットリストも2014年のときのように前年踏襲ということはなく、新旧織り交ぜてとても良かった。サウンドもクリアで、ネットで聴くよりもはるかに迫力があり、声に命が灯っていて良かったし、グッズも満足のいくものばかり。あちこちにできた行列を見てると、やはり衰えぬ人気を感じることもできて誇らしかった。スタッフとファンの方々にありがとうという言葉しか出ません。

 

特にブログに書かなくて良いのではと思ったのですが、どうしても書きたいことが一つあります。

 

単に初音ミクはキャラクター消費だけでなく、初音ミクを好きになるひとは、何か特別な思い入れをもっている、と日頃考えています。特別な思い入れとは、ひとそれぞれで普遍化しづらいのですが、やはりみんな持っているのでは、と再認識させられることがありました。

 

失礼な言い方かもしれませんが、今回のライブで「これぞオタク」という印象のひとと隣席になりました。彼は中年太りしていて、独り言が多く、そのしゃべり方もオタクらしい。

 

ライブが始まると、彼が初音ミクを好きで好きでたまらないのがよく伝わってきます。よく歌詞を覚えているし、曲もちゃんとたくさん聞いている。サイリウムの振りなどからわかりました。オタクの鑑です。

 

初音ミクのどこが好きなのだろう、アイドル的な消費の仕方なのかな、と思ったのですが、彼が音楽を楽しみ、そしてpackagedを聴いて泣いているのを見て、ああ、と感動し、胸がいっぱいになりました。

 

この曲は、クリエイターとミクとの関係の歌ではありますが、拡大解釈すると、孤独な人間が世界とコミュニケーション可能になる歌でもあります。

 

彼は孤独だったのだろうか。ひととの関わりを諦めていたのだろうか。自分にその価値がないと自信なく目を伏せていたのだろうか。でも、そんな彼だからこそ、初音ミクの優しさが届いたのだろうか、そんなことを考えました。

 

 

手のひらから零れ落ちた音の粒を探しているの

ずっと待っていたのひとりぼっちで

歌いたくて歌えなくて

でもあなたと出逢えたから

もうさみしくなんてないよ

 

この世界に笑顔を

あなたとわたしで

届いているでしょ

響いているよね

 

彼は、ハジメテノオトでも号泣していました。

 

やがて日が過ぎ 年が過ぎ 

古い荷物も ふえて 

あなたが かわっても 

失くしたくないものは 

ワタシに あずけてね

 

時の流れも 傷の痛みも 

愛の深さも あなたの声も 

ワタシは知らない だけど歌は 

歌はうたえるわ だからきいて

 

もしもあなたが 望むのなら 

何度でも 何度だって 

かわらないわ あのときのまま 

ハジメテノオトのまま…

 

空の色も 風のにおいも 

海の深さも ワタシのうたも 

かわらないわ あのときのまま 

ハジメテノオトのまま…

 

初めての音に なれましたか? 

あなたの 初めての音に

 

こんなもったいないほどの過剰な優しさを、初音ミクは可能にするんです。

涙が止まらないライブでした。

 

スタッフの皆さん、音楽好きの皆さん、クリエイターの皆さん、互いにエールを送り合える皆さん、本当に有難う。

そして、ありがとう、初音ミクさん。

 

今年も素晴らしいライブでした。

茶道の話 石洲流 26 備忘録

こんばんは。吹雪です。

月曜にお茶のお稽古でした。今回は簡単な備忘録を。

 

お菓子はどら焼きと栗でした。

栗ももちろん美味しかったのですが、このどら焼きが絶品です。

いや、絶品などという、芸能人がテレビで肉を頬張る時に流れるテロップみたいな言葉を使いたくないくらい、美味しかった。伝統と歴史に感謝しましたよ。ええ。

 

生まれて初めて、どら焼きって美味しいのだと思いました。

 

ぶっちゃけ、スーパーやコンビニのどら焼き、好んで食べますか? 時々どうしてもあんこが食べたくなった時の選択肢の一つくらいではないでしょうか。

 

ところが、いただいたどら焼きは全く違いました。あずきの味がしっかりとして、甘すぎず味が薄すぎず、絶妙です。生地もふんわりとしてカステラの親戚のような、親戚の中でも船旅のお土産をくれる立派なおじさんのような、そんな喜ばしい懐かしい味わいです。

 

お店を必死に調べたのですが、さすがにどら焼きのあの見た目からは、どのお店か見つけ出すのは至難の技で無理でした。

上野のうさぎやか、南池袋のすずめやか、はたまた大和屋か。いつの日か思い出のどら焼きの味めぐりに出かけましょうぞ。

 

さて、今日のお稽古では、柄杓の音を立てるコツをお伺いしました。お湯を汲む時に先生は「ゴポポ」と音を立てるのですが、これを真似ようとしてもそううまくいきません。コツは、柄杓を入れながら少し傾けるとのこと。お湯からあげる時はもちろん上を向けなければらなないので、どこかで柄杓をかえさなければなりません。ぼんやりと柄杓をかえしてもお湯は汲めます。きっと、音がきちんとなるポイントがあって、それを意識して柄杓をかえさなければならないのでしょう。

 

終い手前のときに、お湯ですすぎ、次は水ですすぐが、これは、お湯で洗うのはお茶碗、水で洗うのは茶筅だからとのこと。

 

お茶の席にはいくつもの線があるとのこと。その線と、自分の重心、腰の位置を意識するのができるようになると良いとのこと。

その話を聞いて、背筋を伸ばそう、道具を持って歩くときも、したばかり見ず、適切な場所に視線を落として、姿勢をよくできるようにしようと思う。次から気をつけよう。

 

道具のバランスが、お茶の真髄であり、千利休は侘び茶を大成したのがえらいのではなく、お茶に美意識を持ち込んだところがえらいとのこと。なるほど。

 

終い手前のときに、戸を閉め忘れない。また、戸を開けたり閉めたりするときに、棗と茶杓を置く位置関係は、茶杓が手前、棗が向こう。茶杓から置く。

 

お軸はカッパで、お花はありませんでした。

カッパは秋でもかけるのかしら……。

 

今日はこの辺で。お休みなさい。吹雪でした。

初のお茶会! @北浦和「築山の家」

こんばんは。吹雪です。土曜日、お茶の先生に誘われて初めてのお茶会に行ってまいりました。

 

いま現在、家の引越しとリフォーム、それに2週間で1000ページの法律書の編集と、NPO法人でやっているインタビューなどなど重なりまくっております。

そんなわけで土曜は朝はやくから家のリフォームをし、そのあとお茶会に向かいました。ズボンに破壊した石膏ボードのあとが付いていて慌てて駅で洗いました。

金曜の夜に白い靴下を準備しました。あまりにも白すぎるのは不自然かしらと思い、無印良品でオフホワイトの靴下を買いました。ところが純白が良いらしいと聞き、あわててセブンイレブンに買いに走って始まる前から大変です。亭主はもっと大変なのでしょう。

 

場所は北浦和の駅から5分ほどの古民家。外から見える梁の材は、丸太を半分に切ったもの。どっしりとした力強さと、丸みのある軽やかさが素晴らしかった。そんなことを思いながら外観を見ていると控え室に案内されました。蔵を改造した場所で、一転して洋風。白い部屋で、大きな窓と、天井まで届いたカーテンが印象的。豊富なウイスキーや、アンティークなお皿と陶器の人形が飾られていました。(お皿を調べましたが似たものが見つかりませんでした。)

どの部屋も立派で、いま一所懸命やっているリフォームがみすぼらしく思えてしゅんとしました。仕方ないや。がんばろ。

 

亭主の堀先生からご挨拶があり、待合に誘導されます。履物の置き方を石州流師範代の富永さんが教えてくださります。

履物ですが、本来は立てかけて、履き終わったら次の人の履物を用意するとのこと。履物を置く仕草や手順があると思うのだけれど、早くて覚えきれなかった。手をくるっとしていたような。今度聞いてみよう。

それから手水を使う。左手、右手を清め、口をすすぐようにして清め(実際にすすがなくてよい)、柄杓を立てて柄杓自身を清め、合を左側に向けて柄杓を置く。手はハンカチで拭く。それから母屋に上がり、お茶室に向かう。

母屋に上がるときは、前の人の履物を片付けること。

お茶室に入るときは、亭主役のときにお茶室に入るように扇子を出して一礼してから入る。入るときに立ち上がらない。富永さんのやり方を見ていると、扇子を膝のさらに向こう側においてから、手をついてにじるように茶室に入っていた。

まずはお軸を拝見し、そのあと釜を拝見する。このとき、扇子を出して礼をしつつ拝見すること。(これは初めてだったし、予想もしていなかったので非常に面白く感じた。やり方が詳しくわからないので聞いてみる。)

 

堀先生のお点前が始まる。

濃茶の飲み方がいまいちわからなかった。古帛紗も特に使用しなかった。

途中でお道具やお軸の説明。

お花はすすき。入れ物は金属で黒色に金粉が舞うように見えます。ふっくらとした楕円形で、夜の丘の上にゆれるススキのよう。技法について説明がありましたが、濃茶を飲んでいるときで聞きそびれてしまった。(今度聞こう。※追記:吹き分けというそう)先生がアップされていた写真があったので勝手に拝借いたします。

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掛け軸は、「もののふの屋島の浦の夕波に流れて会えぬ弓張りの月」

 

作者はお軸では「海月」のように見えたが、「蓮月」とのこと。

大田垣蓮月は、1791年から1875年まで生きた尼僧。京都で生まれ、蓮月焼といわれる焼きものを作る。小さい頃の鉄斎を待童として人格的影響を大きく与えたそう。おお、鉄斎が。

それで、この歌は源平合戦を詠んだものといわれていますが、蓮月は自分の心情を吐露して歌にすることはあまりなかったそうなので、これも歌のストーリーを借りて自分の思いを表現しているのでしょうか。

源義経屋島での戦いのときに弓を落として流してしまうエピソードが歌われていると思うのですが、何を伝えたいのか難しいです。

詠んだのは蓮月80歳のとき。1871年。数え年かもしれないので、正確にはわかりませんが、幕末から明治初期です。単なる源平合戦と月をかけただけにはとどまらない、世相に対する思いがあるのでしょうか。蓮月のもとには当時の重要人物たちがたくさん出入りしていたようですし。

 

さて、このお軸とススキが一体となって世界観を表現しています。物騒になってきたように感じる現在の日本。波立ち見えない月。蓮月のようにニュートラルに見据えつつ、優しさを忘れぬようにしたいものだなと感じます。

月のお軸。夜のススキ。

 

お茶碗は三つ。

一つは、10代目旦入の赤楽茶碗「住之江」。黒楽茶碗「高砂」と対になっているそう。1000万円だとか。存在感のある赤色と、有機的な黒色も濃すぎず広すぎずとてもよい景色でした。この茶碗にもいろいろエピソードがあるかもしれませんが、調べるのはまたの機会に。

もうひとつは、皮鯨とよばれたもので、瀬戸唐津皮鯨手茶碗。ふちが鯨の皮のようだからということ。高台の煤けた黒色や、目跡という重ねて焼くときのあとが、茶だまりから見込みのあたりにはっきり3つ残っており、また全体的なコントラストも力強くてとてもよかった。

最後の一つは、瀬戸伊羅保(いらぼ)だと言われていたような気がする茶碗。向こうで給餌され、拝見で回ってこなかったのでよくわからず。残念。(※追記:高麗伊羅保とのこと)

茶入れは、唐津でした。ただ形がいびつで独特。ふたを開けると金箔がはってありました。

 

蓋置はニューヨークでも使用したという、田原陶兵衛作、萩七宝透かし蓋置です。

風炉は紅鉢でオープンな印象。釜はぶんぶく茶釜ということで、耳がついているそうです(よく見えなかった)。作者は畠春斎?聞きそびれました。 

水指は小さめのもので、平水指。蓋は大蓋。この屏風を調べたのですが、なんというのかよくわかりませんでした。誰か教えて下さい。(※追記:この屏風は縄を編む古道具で、もともとの用途は違うそう。結界を作るのに見立てているそう。)

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主菓子は、大和屋さんの「岩清水」です。

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(大和屋さんのホームページから拝借しました)

 

濃茶のお点前が終わったあと、主催者の森田さんから薄茶をいただきました。
裏千家の方なのですが、氷水を使った手前で、水指(?)に扇子が広げて置いてあって蓋になっておりました。裏千家でも例外的だということです。氷を入れないようにして柄杓に汲み、薄茶をたてます。

お干菓子は、枝豆の洲浜と月の模様が入ったようなせんべいでした。とてもおいしかったです。

お茶碗は、間違っていたら申し訳ないのですが、馬盥の赤楽茶碗でした。

夏は涼しさを考えて底の浅い茶碗を使うそうですね。また、ネット情報で不確かですが、赤楽は薄茶、黒楽は濃茶の格だそうですが、場合によりけりだそうですね。

 

そのあと点心をいただきました。下記の写真も拝借しております。

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「蒸したナス、生姜とかぐらなんばん味噌、茶豆」 「長岡の醤油を使ったおこわ」

「八海山(がそそがれる)」 「えごねりの酢味噌かけ」

です。

えごねりの酢味噌がけは、こんにゃくに似た見た目ながらも、食感は全然違います。師範代の富永さんの話では、麺類のようにして食べるところもあるとか。

このほかに、

預け鉢に、「のっぺ」「鳥つくね(レンコンでつないである)、オクラ、菊」

煮物椀に、「海老しんじょ、カイワレとしめじ(出汁はホタテとしいたけ)」

 

醤油皿に「おめでたい」と書かれてあり、また貝のうつわ、唐じしの塗り茶椀、赤飯のように見えるおこわなどから、縁起のいい席を演出されているのがわかりました。

 

師範代が石州流の歴史を少し話してくださったのも面白かったです。石州流の力が強かったために、明治政府になったときに解体され、結びつかないようにされたとか。一子相伝ではなく自由な流派のため、名前が出てこない流派もあるかもしれないとのこと。生き別れの兄弟を探すようですねというと嬉しそうに頷いていらっしゃいました。

 

ほかにも学んだことはあるのですが、今日はこのあたりで。

おやすみなさい。吹雪でした。

茶道の話 石洲流 25 備忘録

こんばんは。吹雪です。

お茶のお稽古でしたがいろいろ疲れてブログの更新は後回しになっておりました。
下書きにメモしておりましたので、復習がてら思い出して書きます。
今回は時間がありましたので、お点前を2回やってご指導いただきました。
 
 
さて、備忘録から。
 
足の運びにまだ不安があるので気をつけること。
方向転換をするときにも足を引くことがある。それを忘れない。
(足の運びにこれから注意していこう)
水屋に道具を取りに行くときは、いちいち入り口で座らなくても良い。
拝見の挨拶のタイミングに気をつける。湯返しが終わって水差しの蓋を閉めるタイミングで。拝見の挨拶は正客に声をかけてもらってからする。
 
お菓子は卵をつかった羊羹のようなお菓子でした。
水花火というお菓子のようです。栗のような芋のようなあたたかみのある甘さも感じました。(調べたら栗を使っているそうです。)水上の仕掛け花火のようなイメージだそうで。味も爽やかで歯切れよく、夏の夜空の余韻のあるあたたかみのようでした。
 

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長岡の紅屋重正さんというお店から拝借いたしました。
 
お花はなく、お軸はカッパです。