『つながりを煽られる子どもたち』 土井隆義
つながりを煽られる子どもたち――ネット依存といじめ問題を考える (岩波ブックレット)
- 作者: 土井隆義
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2014/06/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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引用
私もアドバイザーとしてかかわったNPO法人「子どもとメディア」の2013年調査によれば、「ネット以外に自分の居場所がある」「ネット以外に熱中していることがある」「人間関係に恵まれている」と答えた小中高の児童生徒のほうが、そうでない子どもよりもケータイやスマホの使用時間はいずれも長い傾向が見られました。実態をよく知らない大人たちは、リアルな生活が充実していない子どもたちが、ネットの世界に耽溺してしまうのだろうと考えがちです。(18ページ)
ネット依存の程度を図ろうとするとき、いま世界で最も頻繁に利用されているのが心理学者キンバリー・ヤングが開発した尺度。
今日のコミュニケーション能力は、多種多様な商品が行きかう自由市場の貨幣と同等の役割を果たしているともいえます。貨幣さえあればどんな商品とも交換できるように、コミュニケーション能力さえあればどんな他者とも関係を取り結べるからです。(30ページ)
社会心理学者のシーナ・アイエンガーが行った実験で、24種類のジャムと、6種類のジャムの試食スペースを作ったところ、24種類の方が試食をしたが、買ったのは6種類のほうが多かった、とのこと。
今は内キャラ(自分自身が見せたいキャラ)も外キャラ(他人によってつけられるキャラクター性)によって駆逐された。(71ページ)
新聞記者の小国綾子さんは、生きづらさを抱えた若者や子どもの取材を長年にわたって積み重ねてこられた方。中学時代は自分もリストカッターだった。
引用
臨床心理学者の河合隼雄さんの言葉を借りれば、私たちは教育を行うとき、知的なレベルでは「個の倫理」に訴えようとしますが、実践のレベルでは「場の倫理」を優先させてしまいがちなのです。(『大人になることのむずかしさ』岩波現代文庫、2014年)(82ページ)
感想
教育のむずかしさや若者の扱いづらさを問題化しているように見受けられるが、そもそも問題なのか、疑問。