くもり空の形而上学

ジャパンカルチャーや茶道、日常のことなど雑多に書きます

茶道の話 石洲流 17 備忘録

こんばんは。吹雪です。

今日のお稽古は釣釜でした。そして水差しなどは旅箪笥に入れてあるという仕様。

4月だけの特別な炉ということです。

釜は筒形。吊り下げるということもあって、軽いものを選ぶそうです。天井にある釘は、蛭釘というそう。蛭の形をしているからとのこと。もう少し暖かくなると、透木釜(すきぎがま)になるそう。すきぎ釜の方が火が近いし、なんで暖かくなった時に使うのだろうと疑問に思ったのですが、写真を見て納得。炉の内側に小さい木の枠をおいてそこに置くのですね。一回り小さく、火も小さく、それだけ熱くないということなのでしょう。

 

お菓子は大和屋さんの、「つくし野」です。これはすごい。芥子の実が一面についていて、渋い高級感があるのですが、食べたらなんと、あざやかな若草色の餡! これは意外! はっとさせられました。たしかに、ひとは、はっと春の訪れに気づく。この季節感が嬉しいではありませんか。

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見た目はこんな感じ。雪平(せっぺい)というお菓子だそうです。せっぺいとは、求肥に白あんや片栗粉を加えたものらしい。たしかにもちもちしていたけれど、もちとは違った求肥に近い感触でした。

美しい餡を見せられないのが残念です。初音ミクの髪のような色です。

 

お稽古としては、旅箪笥を使わず、普通のお点前。

ただ、お点前の前に、釣釜を清め、蓋を直し、位置をひとつ高くしました。

このとき、左手の肘をももにつけて固定し、左手の中指を鎖に添えるようにして少し持ち上げ、くさりひとつ分上にして掛け直す。

清めるときは、二つ折りにし、ぱたぱたとはたくように。「上、右、左、下」の順番です。

あとは、特に今回は進みませんでした。

にじって移動するときは、3回を心がけること。茶筅通しは水平になるように回転させる。

動作が少し早いので気をつける。

 

お軸は、「花開蝶自来」です。「はなひらかばちょうおのずからくる」。

いい言葉ですね。ありのままの自分でよいというような安い肯定はなく、厳しいながらも、自分を受け入れられる大らかさがあります。

ただ黙々と自分の信じた道を進み、与えられた縁や仕事を大切にする。しかし、これはなんだか荒涼として寂しいです。

この花開かば、蝶自ずから来るは、もう少し、世俗的というか、優しいですね。

なんとなく、中原の「またこん春とひとはいふ。春が来たってなんになろ。あの娘が帰ってくるじゃない」といった詩を思い出しました。そういう中原も、春をうたわずにはいられなかったわけで。

 

あたたかくなってきて嬉しいですね。

おやすみなさい。吹雪でした。