くもり空の形而上学

ジャパンカルチャーや茶道、日常のことなど雑多に書きます

築50年 中古戸建て リフォーム 【床張り 漆喰塗り 編】

こんにちは。吹雪です。

一人で6畳間を床張りし、だいたいの作業が終わりましたのでアップいたします。

まずは畳を剥がし、杉板の上に根太を30センチ間隔で打ちました。

 下の写真は仮並べしているところ。

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床の端が沈んでいたので、レーザーを使って水平をとり調整しました。仮並べした根太の下に合板を入れています。この方法が最適解なのかはわかりません。補強とレベル調整です。杉板を剥がすことも考えたのですが、釘が錆びていてそう簡単に抜けないので、破壊するときにかなり大きな音が出ます。隣人から苦情が来ているので、できるだけ音が出ない方法を選びました。(ちなみにレーザーは別の用途で買っており、ヤフオクで5000円でした。)

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もともとあったフローリングの部分は再利用するつもりだったのですが、やはり印象がちぐはぐになって良くないので壊しました。

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壊してみると杉板がなく、大引の間隔も不安だったので、根太を違う方向で打つことになりました。材料が多少余っていたこともあり、強度を得るため15センチ間隔にしています。右側は、中間に支えるところがなかったので、12センチ間隔にしています。

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取り掛かってみると顔面蒼白になるような不測の事態がありますが、それを工夫してなんとかするのも楽しみといえば楽しみです。

12ミリのラワン合板を丸ノコでカットし、根太に留めて捨張にしました。その上からフローリング材を張りました。丸ノコで長尺のものを切るのは危なくて不安なのですが、例えば1センチの幅を縦に綺麗にカットできるようになりました。

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全てビスで留めています。釘は音がうるさいので近隣の苦情を気にすることになりますが、ビスはその点やりやすいです。

フローリング材は桜です。幅9センチ、厚さ15ミリのものを使いました。

一応材料費をまとめておきます。

 

フローリング7000円 6箱 (ヤフオクで購入)
ラワン合板1300円 7枚 (以下ホームセンターで購入)
垂木 約2000円分 
フローリング用ダンドリビス 2000円
細ビスなど あわせて約500円分
フローリング用ボンド 1000円 2本 (使いすぎかもしれません)

かかった費用は6万円程度です。
フローリングは節約できるかもしれませんが、1〜2万円程度の差であれば、足触りの良く気に入った材を使いたいなと思いました。

 

その後、亜麻仁油と蜜蝋ワックスを塗りました。急に力強い印象になったので驚きました。特に節目が目立ちます。カバザクラと同じようなものだと思っていたので、びっくり。とはいえ、カバザクラのように独特の光沢を持っています。

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巾木はまだ作業途中です。柱の部分は柿渋を塗るか、実験的に漂白してみようかと思っています。柱の色が変わると、部屋の雰囲気が一変します。

黒い柿渋を塗ると古民家風になり、白くすると現代的な感じになります。まあ、黒かしら。襖もそのうち張り替えます。



壁はカーボンプラスターを下地に塗ったあと、漆喰を塗りました。鏝跡を残さないよう、磨き仕上げにしています。漆喰塗りの作業時間は7〜8時間ほど。


漆喰を塗るのは3回目。3度目の正直でコツをつかみ、綺麗な平面を出せるようになりました。写真ではわかりづらいかもしれませんが、すべすべです。

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鏝使いにばかり気を取られていたのですが、水の引き具合を見定めるのがポイントだったように感じます。水分が多い時は鏝の跡が必ず残るので、この段階では素早く材料を均一に伸ばすことに徹し、鏝を通す回数を極力減らしつつ滑らかにしました。塗る回数が多いと層ができて綺麗になりません。

水分が抜けて硬くなってきた時に鏝を通すと、うまい具合に平面が出ました。さらに硬くなってきた頃に大津通しなどの鏝で磨きました。

時間帯によって水分の蒸発料が違います。霧吹きなどで調節しながら塗りました。

また、水分は徐々に飛ぶのではなく、一定時間(例えば5分。状況によってかわる)経過すると、ふっとなくなるので、その5分でできる作業量を考え、その作業量と壁面積の配分を考えるのが大切だと感じました。

ただ、これはアマチュアでもうまく塗れる方法であって、プロのやり方とは違うかもしれません。しかし、稽古場の茶室の水屋にあった漆喰の壁を撫でてみると、僕と同じ作業手順でやればできる、均等な幅の、つなぎ目部分の厚みを確認しました。

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つなぎ目の部分が短い方が作業がやりやすいので、縦長のときはこのように横に塗っていました。横長のときは縦に塗っていきます。

まず1回目を塗り、2回目を5分で塗るとします。2回目を塗り終えた頃には1回目は水が引いてきているので、そこで鏝を通します。すると嘘のように鏝跡がなくなります。3回目を塗り、2回目に鏝を通しながら、1回目にも鏝を通します。するとつなぎ目も綺麗になり、1回目はより滑らかな平面が出ます。この作業を繰り返します。鏝を通す方向は下から上にやりましたが、横にも通しました。ケースバイケースです。

また、つなぎ目には材料が余計に被らないために、多少、量と塗り始めの位置をコントロールする必要があると思いますが、慣れれば難しくありません。

 

高知石灰工業さんの「しっくい白亜」を使っています。20キロ3800円ほどで、これに15リットルの水を加えて練ります。6畳を塗るにはちょうどよいくらいで、サッカーボール1個分くらい余りました。うまくヌレールなどに比べると破格の値段で漆喰が塗れます。

つなぎにスサがきちんと入っているので、材料がスムーズに伸びてくれず、難易度は高めかもしれません。ただ、コツをつかめば綺麗に塗れて楽しく、オススメです。

ちなみにいままで塗った材料に難易度順をつけると、

 

ワラスサの土佐漆喰>>>しっくい白亜>(越えられない壁)>砂王>プラスター

 

です。土佐漆喰と悪戦苦闘しているうちにコツを掴みかけて、今回で言語化できました。

 

床張りと漆喰塗り、そこそこ技術が身についてきたので(まだ至らない点が多々あることは重々承知していますが) 、「DIYでやってみたいけどやったことないしまずは手伝って欲しい」という方がいればご一報いただければ嬉しいです。

大工と左官をナリワイのひとつにしたいので、経験を積みたいです。

(もちろん、本職は編集者です)

 

茶道の話 石洲流 34 備忘録 

こんばんは。吹雪です。

今日(28日)が仕事納めでした。皆さんはいかがですか。

 

早速ですが、今日の備忘録を。今日も丸卓を使いました。

棗は飾っておく。これを忘れていました。

茶碗だけ持って点前畳に入り、丸卓の前で座ります。茶碗を左手で仮置きし、右手で棗をとって、置き合わせの位置に。茶碗を右手でとって左手で置き合わせの位置におく。

そのあと建水を持って入る。

 

拝見の挨拶のあと、柄杓と蓋置を建水のところに置いて、建水を下げ、そのあと柄杓を正面に構え、右手で受け、左手で持ち直して丸卓の上におく。蓋置を置いて、建水を持って下がる。

 

今日は、良寛直筆のお軸で、「無事」でした。写真は先生のFacebookから拝借しました。

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なかなか慌ただしく、じっくりと見ることができなくて残念です。

また来年までのお楽しみですね。

 

お茶碗は、13代目田原陶兵衛の萩茶碗でした。萩焼にいいイメージを持っていなかったのですが、完全に覆りました。とても素敵なお茶碗です。

筆洗いに見立てた口の作りになっており、動きが出ていてとてもよかった。

それと、今日の蓋置は三つ人形でした。これについてももっとお話を聞けばよかった。

お菓子は、鎌倉の豊島屋さんのお菓子でした。

 

今年一年も楽しいお稽古でした。

ではまた。良いお年を。

茶道の話 石洲流 33 備忘録 【丸卓(まるしょく)】

こんばんは。吹雪です。

 

今日は盛りだくさんですよ。

まずはお菓子から。

クリスマスらしい緑色のお菓子でした。お茶会でもらったもの? らしく、調べてもどのお店のお菓子か見つけることができませんでした。

イメージとしてはこんな感じ。

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(画像はネットにあったもので、上生菓子図鑑から拝借しております。)

これの全体が緑色で、赤色が何かの粒になっているものです。クリスマスのヒイラギのような雰囲気でした。甘くておいしかったです。

 

さて、今日は丸卓(まるしょく・まるじょく)という棚を使った手前をやりました。

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これです。はめ込んで組み立てているようで、持つ時は一番下を持つようにとのこと。ばらばらになるそうなので。

 

運び出しの時には、この棚の上の中心に棗を置いておきます。

そのため、茶碗だけを持って運び出しをやります。

茶碗を持つのは、両手で持つように。右手も添えること。

左手は小指を高台にかけるようにして、包み込むように持つ。

 

点前畳に入り、水指(丸卓)の前に座る。

茶碗を左膝10時くらいの位置に仮置きし、右手で棚の上の棗を取り、置き合わせの位置に置く。

 

茶碗を右手でとり、左手で受けて、棗の左隣に置く。この時、茶杓の櫂先が丸卓の接線に触れるくらいにすること。

 

立ち上がり水屋に戻って建水を運び出す。以下、通常の炉の平手前と同じ。

 

終い点前で、拝見の挨拶の後、柄杓と蓋置を下げてからが異なる。

 

柄杓と蓋置を下げた後、柄杓を左手でとり、体の中心に持ってくるタイミングで右手も添える。合は顔の方を向くように。左手で持ち直しをし、右手は外す。

 

このとき、左手は正面から、上から持つときの動きで持つこと。(言葉での説明が難しい。)柄杓で水を組むときの右手の要領でもつこと。

 

そして、柄杓を丸卓の上に置く。置く場所は、接線で四角形を作ったときの右上頂点に柄杓の合を置き、左下頂点から3分の1のところに柄杓の柄がくるように置く。

 

次に蓋置を右手でとり、左手で受け、右手で軽く蓋置の水気を切ってから、右手で丸卓の上に置く。このとき、柄杓の合の接線と、切止の接線?が垂直に交わるエリアの内側に置くようにすること。

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こんな感じ。蓋置はここまでぎりぎりには置きませんが。

蓋置に釜の蓋を置くと、釜の蓋のヘリが柄杓に重なるくらいのイメージでということでした。

 

それから建水を持って、水屋に下がる。その後は炉の平手前と同じです。

 

今日は緊張したので、もう少しゆっくりやるようにとのこと。

 

お軸は、前回も同じで、「明歴歴堂堂」でした。 

出典は圓悟佛果禪師語録(えんごぶっかぜんしごろく)です。

聞いたこともない出典ですが、こういうのも知らなきゃいけないのでしょうね。

妄想を離れた心には世界が曇りない姿で立ち現れる、ということらしいです。

 

さて、今日は自分で買った茶碗を持って行きました。

先日仙台へ出張したおり、窯元に寄ったのです(むしろこれが目当てで出張したようなもの)。

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こんな茶碗です。

初めて茶碗を買いましたよ。

窯元は、六華窯(りっかがま)といい、作家さんは岩井純さんです。

ふとした弾みで目にして、それから意識の底で気になっていたのでしょう。お茶を機会に思い出してネットで調べました。

結晶釉という釉薬を使うそうで、普通の焼き物にはない表情がたまらないのです。

綺麗だなとため息をついて画像で見ていたのですが、実物を穴があくほど見て見たくなりました。思い切って窯元を訪れたところ、私の早とちりでハプニングがあり迷惑をかけましたが、歓迎していただけたようで嬉しかったです。

 

 

工房にはいろいろなお茶碗、お皿、水指、茶入れなどが置いてありましたが、どれも素晴らしいものでした。下は撮影させてもらった平茶碗です。

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青空と雲を眺めるような、吸い込まれそうな美しさでした。青空が美しい季節だけでなく、梅雨の時期にこんなお茶碗でお茶をいただけるといいですね。

勢いのある効果線が、飛翔するような爽やかさを感じさせますし、同時に色味は鉱物独特の永遠でどっしりとした説得力も感じさせます。素晴らしい。

 

こちらも欲しかったのですが、お金が足りませんでした。

 

 今日持って行った茶碗ですが、お茶を飲み終えたあとには、結晶の白色が夜空や宇宙を彷彿とさせる表情となってあらわれました。

お茶を一服した余韻と、ふと吸い込まれそうな星空の静寂が一致して、茶碗と対話しているかのような気分になりました。

七夕にでもお客さんに出したい茶碗だなと思いました。堀先生によれば、雪のような美しさもありますねとのことでした。

何かに似ているから美しいというわけでもないのですが、イメージを刺激するのはとても面白いなと思います。

 

茶碗に独自の世界観があるので、かえってお茶にふさわしくないかなと心配したのですが、点前をしてみるとそれはまったく気になりませんでした。控えめだけど凄みもあるし、表情もさまざまで楽しい茶碗です。

 

 

それと、土曜日に床を張り終えました。

下地から張ったので結構手間がかかりました。 しゃがみっぱなしで疲れます。

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材料は桜の無垢材です。節があるので、ほんのちょっとだけ安い材料です。ケチらずに少しグレードの高いものを買えばよかったかなと思わないでもない。

桜というだけあって、ほんのりピンク色があって綺麗です。

亜麻仁油を塗るともう少し力強い表情になります。経年変化が楽しみ。

壁はこの写真にも写っている砂壁を落として下地を塗りました。今度の休みで漆喰を塗ります。

 

 

ところで、茶道文化検定3級の合格通知が届きました。結構難しかったので嬉しい! バンザイ! 石州流にはあまり役に立たないかもしれませんが、やらないよりマシかと思い、勉強しました。

知らなかったことを知るのは楽しいですね。

 

それではおやすみなさい。

吹雪でした。

 

茶道の話 石洲流 30&31&32 備忘録 【炉の点前】

こんばんは。吹雪です。

寒くなって体調管理が難しいですね。皆様いかがおすごしでしょうか。

私は、3ヶ月かけて出版する予定だった2冊の本が、1ヶ月でどっちも本にしなさいと厳命が下り、怒り狂いながら仕事しておりました。

 

……というような下書きを書いてすでに3週間が過ぎております。

この間もいろいろ忙しくてついブログを怠けておりました。ちなみに仕事の他にも6畳間の床はりをしていました。桜の無垢材を使い、下地も自分で作りました。いい経験。

 

そんなこんなで忙しかったのですが、短くてもブログをさっと書いてしまわないともうダメですね。億劫。

今回はできるだけ早めに書くことを心がけて、不十分かもしれませんがアップしてしまいます。

ブログの使い道も難しいものですね。

本の感想やメモ、ブログで書くには分量が多すぎるし、どうしようかなと悩むところです。ブクログにでも試しに書いてみるかと思い、とりあえずそこでメモしてます。

普通のメモ帳とちがって、ネットがあればどこからでも見られるのが便利なのと、ブログだと自分の記事を見返すので、復習になるのですよね。

ノートなんかだと忘れているのが怖くて復習したくなくなるのですが、ブログは気になって読み返してしまう。それが良いなと。

 

さて、今回の備忘録です。風炉も炉も、流れは忘れないようになったので、次回からは尋ねたポイントや、掛け軸などについて調べたメモなどを書いていくようにします。

(手前の復習が長すぎて分量が多くなるので)

30回目は最後の風炉 でした。一年で一番わびているとのこと。

31回目は炉開き。

 

簡単に炉の平点前の流れを。

水指は手前畳の真ん中の方に置いてありました。

夏目と茶碗を持って入る。水指の前に置く。これは風炉の手前と一緒。

建水をもって、水指の前に座り、建水を置く。

蓋置と柄杓をもって、手前座に向き、蓋置を畳の四目の所に置き、柄杓を置く。

建水を動かして、水を捨てやすいようにし、ご一服差し上げますと礼をする。

茶碗を仮置きにする。左手でとり右手で置く。

棗を清める。右手でとり、膝前に置く。袱紗を三つ折りにし、清め、水指と釜のカン付きを結んだ線上に置く。感覚は三等分したうちの左側。

畳直しをして、茶碗を膝前に。茶杓を清めて、棗の上に置く。

茶筅を棗の右に。

柄杓を右手でとり、左手に。

左手の袱紗を右手に取り、膝の上で二つ折りにする。

釜の蓋を閉めて清め、蓋置の上に置く。袱紗をももの上でたたみ、腰につける。

茶碗の中の茶巾を蓋の上に置く。

柄杓を構え、お湯を入れる。

柄杓を置くときは、釜の口にかけてやや引きながら下ろす。

炉縁の3分の1の半分の位置に柄杓を置くように。

茶筅通しの後、茶碗を温めてお湯を捨て、茶巾で拭う。

茶巾をたたんで、蓋の上に。

お茶、お湯を入れてお茶を点てる。

炉の隣の位置に置いて、水指の蓋を取り、水をさす。

茶碗が戻ってきているので、それを取り、手前座に直って膝前に起き、しまいにしますと礼をする。

お湯を取り、茶碗を洗う。三回回してお湯を捨て、手を湿らせる。

水を汲み、茶筅を洗う。茶筅はちゃばちゃばと音を立てないように。三回回して水を捨てるときに茶巾をもつこと。巾の字を書いて茶巾を固定し、膝前に置く。

茶筅をしまい、袱紗を三つ折りにする。茶杓を清めて茶碗に置く。茶碗を仮置きの位置に。

袱紗を建水の上で叩いてたたみ直しをする。左手で棗を取り、そのまま膝前に置いて、清める。右手だけで袱紗をたたみ直して腰につけ。右手で運び出しの位置に戻す。

茶碗を運び出しの位置に。右手で持ち左手で受けて置く。

湯返しをする。水指の蓋を閉める。

拝見の挨拶がある。

蓋を完全に閉めて柄杓と蓋置を取り、水指に向いて、柄杓と蓋置を建水に置く。建水を少し下げる。

体を少し引いて、棗、茶碗を一列にし、棗、茶杓の順に拝見に出す。

その後建水をもって下がり、茶碗をもって下がる。

茶碗を片付けて戻るときに襖を閉める。これは、棗や茶杓を拝見に出しているので、それで話があるからとのこと。手前畳に踏み込み、3歩ほど前に進み、右を向いて炉に向かい、座る。

袱紗を三つ折りにして炉縁を清める。袱紗の腹で清めること。

口の書き順と同じ。最後はちりを中に落とすようにし、軽く袱紗をはらう。

袱紗をたたみ直し、二つ折りにして釜を清め、蓋を切りかけの位置にする。

腰につけて、棗と茶杓をもち、一例をして水屋に下がる。

水屋に下がるやり方は風炉と同じ。

 

 今日は紅屋さんの木枯というお菓子でした。

 

 下記は前回のメモです。

上田宗箇流:石州流野村派と似ているとのこと。きになる。

 

お茶のできを確認するのに中心を少しだけ外すこと。やりすぎると良くない。

この中心を外すのはじっくり覗き込んでドヤ顔しないためとのこと。

 

鶴屋吉信:お菓子屋さん。 つばらつばらというどら焼きのようなお菓子。 

「あさじはら つばらつばらにものもへば ふりにしさとし おもほゆるかも」

大伴旅人が、九州に赴任したとき、つばらつばら(しみじみ)と物思いをしていると、故郷の都のことが思い浮かんできた、という出来事を踏まえて作ったお菓子。

そのほかに紅屋さんの石衣というお菓子も。

 

簡単ですが、おやすみなさい。吹雪でした。 

『壁塗り実例&実践百科』 ドゥーパ!編集部 

 

壁塗り実例&実践百科 (Gakken Mook DIY SERIES)

壁塗り実例&実践百科 (Gakken Mook DIY SERIES)

 

 左官の技術の基本を紹介したものだが、それ以上に豊富な事例が特徴。図書館で借りて読んだ。

【実例の感想】

ムーミンハウスをイメージした家が印象的だった。丸い家で土台は重量ブロック。柱は5本で、それを特注の鉄の輪がおさえる。鉄の輪は直径3メートル。床は湿気が多いためフローリングをあきらめてたたきにしたとのこと。三和土(たたき)は土に消石灰塩化マグネシウムを、3:1:1の割合で混ぜ、土間を叩くように施工する。ベンガラを入れると美しい。

 

平山寿恵さんのギルトセメントによる造形もすごかった。ギルトセメントは、発泡スチロールなどの骨材を入れ、スタイロフォームなどに塗る。彩色することで、木目や岩、レンガなどをかなりの完成度で再現することができる。

 

【技術のメモ】

ビニールクロスに珪藻土をぬるときは、タッカーでクロスをとめるとよい。また、タッカーのステイプル(針)は錆止めスプレーで処理しておく。確かにやった方が良いなと思った。

木に養生をするときは、マスキングテープを貼ってから養生テープを貼ると木に傷がつかなくて良い。また、養生テープをはがしたあとに、壁材が少し浮くので、鏝の先で少し押さえるようにすると仕上がりが美しくなる。

 

金属製の鏝で叩くようにして仕上げたスタッコパターンや、引きずり仕上げ、スパニッシュパターン、ハケ引きなどのパターンがあるのが面白かったが、やはり磨き仕上げを習得したい。

 

非電化工房の家を見てみたい。栃木県那須郡にあり、代表は藤村靖之

 

【本作り】

本の作りは、まさにDIYむけ。マニアックなものではない。資材の紹介やぬり方などを書いてあるので必要十分だった。壁を塗る前にこれを見ておけばよかったと思うが、土佐漆喰を塗っているのであまり関係ないかもしれない。

情報量は多かったし、わからないときにためになりそうなので、買っても良いかもしれないが、ある程度知識があれば読み返ししなさそう。

【観劇】 東京フェスティバル 「無心」 【感想】

こんばんは。吹雪です。

10月27日、下北沢にある小劇場B1へ足をはこび、東京フェスティバルのお芝居「無心」を観てきました。AKBのメンバーである小嶋菜月さんも出ていたり、事前情報では豪華さが印象的でしたが、劇は誠実度&完成度が非常に高い、よく考えられたものでした。

いやあ、素晴らしかった。以下、ネタバレを含みます。

 

 

 

青空も青い海もないけど、東京に沖縄がやってくるという触れ込みの通りで、「リアルな沖縄」を感じさせてくれるものでした。

簡単にあらすじを紹介すると、テント村にいる基地反対派のリーダーの娘がアメリカ兵と恋に落ちたため、リーダーを続けられず辞退しようとするが、テント村の参加者にもいろいろな事情があって反対運動を続けられそうにないということがわかり、テントが撤去される通達の絶望感の中、東京から来たトリックスタークラウドファウンディング成功させ、登場人物の一人の問題を解決し、皆は反対運動を続ける力を取り戻すというストーリー。

 

大げさな台詞回しやわざとらしさがなく、自然なはこびで劇が始まりました。

あまりの身近さに、思わず劇に入り込み、「土地を売っちゃダメだよ!」など言いそうになりました。客から参加することがあっても良さそうな劇だとさえ感じました。

 

自然な雰囲気だからこそ立ち現れた沖縄ですが、単に現実に写し紙をあてただけでなく、各人物に抽象的な役割も付与されています。長くなりますので登場人物については、またの楽しみにし、この作品の核心部と感じたことをお伝えしたいと思います。

 

確かに、この現実には、沖縄に基地があり、日米地位協定があり、戦争の可能性もあります。

そしてなにより、硬直しがちな現実とそこに暮らす人がいて、対立があり、理解しあえない障壁があります。

基地容認派を「無心」していると責められる人がいるし、戦争の恐怖を拭い去れず、またプライドと誇りを守るために「無心」な人もいる。

基地のお金がなければやっていけない事情がある一方で、プライドがずたずたにされ、人間性を回復したいピュアネスがある。

 

 

この「無心」の二重性の間でどうしても対立が生まれ、にらみ合って硬直する。

この固まってしまった現実をどうにかしてして揺るがしたいと願ったのが、今回の作品でした。

政策や農業方針、航空整備などのことが希望を持って語られますが、それが最大の希望ではありません。

 

ねだる「無心」と、純粋さを意味する「無心」。この二つの「無心」に、最後の最後に、大きな意味がほんの一滴たらされて、対立していた現実がパッと鮮やかに統合されます。

この「統合の可能性」そのものを示したことが、大きな希望なのです。

 

この統合を可能にしたのが、「trick or treat」というセリフです。

 

こ存じの通り、「お菓子をくれなきゃ、イタズラするぞ」という意味です。

これが、まさに「物乞い」と「純粋さ」を統合しつつ、現実を変えるための交渉力をも示してもいるのです。(イタズラで解決できるという意味ではありません)

 

劇中では、これまでは考えもしなかった解決方法として、クラウドファウンディングで問題を解決しました。「トリック」の確かさが印象付けられ「trick or treat」というセリフが最後に与えられることで、今とは違う方法で歩み寄ることが出来ないか、解決することが出来ないかを、登場人物だけだけでなく、観客も巻き込んで思考を作動させる力を作り出していました。

 

ハロウィンが定着してきた現在、アメリカ化してきたと嘆きたくなる気持ちもわからなくはないですが、「Give me chocolate」から、「Trick or treat」と言えるようになった変化は大きなものではないでしょうか。

 

ハロウィンの定着が示していることは、我々が常に新しい可能性へ向かって歩んでいることです。この新たな一歩を想起させようと、ハロウィンの時期に合わせた「trick or treat」には、沖縄を見て歩いた作者の願いがぎゅうぎゅうにつめ込まれているでしょう。大変な力量だと感動した次第です。

 

概念の創造、新たな哲学がありました。

 

DVDも発売されるようですので、気になった方はごらんになってください。

 

おやすみなさい、吹雪でした。

茶道の話 石洲流 29 備忘録 【長板 六段】

こんばんは。吹雪です。

今日は久しぶりのお稽古でした。

 

やつれの時期といい、風炉から炉への移行期だそうで、長細い水差しを使い、そのぶん風炉を水差しの方に近づけるそうですが、今回は復習もあっていつも通りの風炉でした。

やつれの時期だということもあってか、花入は宗全籠(そうぜんかご)でした。(前回も花はありませんでしたがこの籠でした。)

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これは江戸時代の茶人、久田宗全が好んだと言われる籠らしいです。女竹を使って、底は四角く、口は丸く編み上げ、四隅を底と口をつなぐように細い女竹をあて、それを藤蔓で荒く結び、口を真竹を回して藤で止めたもので、丸篠をふたつあわせた取っ手が付いているそうです。(上の写真の通り)

女竹(めだけ)って、山本まさひろ君の家の庭に生えていた細くて丈が短い竹のことか。

仙叟宗室が作らせた籠に、後から取っ手をつけたものとか。由緒があるぶん、格式が高いそうなので、長板のお点前にふさわしいそうです。

 

残花の季節によく合うとのことでした。花と草ひとつずつがお茶には多いと思うのですが、この花入にはそこそこ盛大に花を入れる場合もあるそうです。

確かに、晩秋の寂しい気持ちがする中、花をたくさん入れた宗全籠は季節にふさわしいでしょうね。名残を惜しみつつ、冬支度というか。

 

今回は長板ということで、全部で8段あるうちの、6段のお点前を教わりました。蓋置を長板に飾り付けておく手前で、一番簡単だそうです。

 

運び出しの前、準備の段階から、長板の上に蓋置を置いておく。蓋置を置く場所は、長板の角から4×4目のところ(そこに手前のとき蓋置を置く)とシンメトリーになるように。(左右対称ではなく、斜めに対称(?自信がない。確認しておく))

蓋置を取るタイミングは、普通に手前をやるときと一緒。

それ以降はいつもの手前と同じ。

終い手前のときは、蓋置は長板の上に置く。このタイミングは次の通り。

拝見の挨拶が終わり、柄杓と蓋置を建水のところに片付け、棗と茶杓を拝見に出した後で、蓋置を右手で取り、左手で受けて、右手のひらで一回撫でるようにして水気を取り、そのまま右手で長板の上におく。

 

今回は、呼吸を意識して手前を行った。呼吸の感覚・吸って吐くタイミングをひとつの区切りとしながら点前をした。それぞれの感覚の長さはいまいちつかみづらかったが、動作に緩急が出て、ひとつの動作を区切りやすく、やりやすかった。

呼吸を止めるのが大切とのこと。茶杓を茶碗に当てるときなどに呼吸を止めるらしい。

 

また、ふすまを閉めるときは、閉める直前で手の動きを止めて、衝撃の余韻を作り、音の幅を出していい音にするらしい。ドラムと同じですねというと、そうですとのこと。

実際にやってみると、ふすまが閉まる直前でぴたっと止まってしまい、ひとつも音を出さずに戸をぴったり閉めるというミラクルなことに。みんなで大笑い。

呼吸のことでは、呼吸を極めると、主客が一体となり、亭主の存在感が なくなるとのこと。道具も何も見えなくなる境地が大事とのこと。(思い違いかもしれないのでもっと詳しく聞く)

 

また、茶室全体に5行の考えがあり、陰と陽で構成されているとのこと。建水の方が陰。客席の方が陽。なるほど。

 

掛け軸は「清風払明月」でした。

この禅語、いまいち意味が飲み込めなかったのですが、単にチリを払うというような意味で、清い風が明月を清めるている様を見れば良いのだと思いました。払うというと箒で追い立てるような感じがありますが、そうではなく、釜の蓋を清めるような感じなのでしょう。静謐さが楽しめる、秋のお茶にふさわしいお軸ですね。

 

お菓子は、大阪の高山堂のきんつばでした。

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とっても美味しかったです。

 

ではお休みなさい。吹雪でした。